扁平足とは、足の「土踏まず」を形成するアーチが低下した状態です。扁平足があっても症状のない方も多い一方、足の内側や足裏の痛み、疲れやすさなどにつながることがあります。
「土踏まずがない気がする」「長く歩くと足が疲れる」「足の内側が痛い」「子どもの足が平らに見える」と心配されて受診される方も少なくありません。
扁平足は見た目だけで判断するのではなく、年齢や症状、足の柔軟性、かかとの向き、必要に応じて荷重した状態でのレントゲンなどを組み合わせて評価することが重要です。
当院では整形外科専門医が足部全体を診察し、必要に応じてレントゲン検査を行い、症状や足部の状態に応じて運動療法やインソールなどの治療をご提案します。
扁平足とは
足には、歩行やランニングの際に衝撃を吸収し、効率よく力を伝えるための「アーチ構造」があります。
一般的に土踏まずと呼ばれているのが、足の内側にある内側縦アーチです。
このアーチが低下し、足裏が地面に広く接するようになった状態を扁平足と呼びます。
ただし、「土踏まずが低い=必ず病気」というわけではありません。 扁平足があっても痛みや機能障害がなければ、必ずしも治療が必要とは限りません。
扁平足の主な症状
足が疲れやすい
長時間立っていたり歩いたりすると、足が疲れやすい、だるいと感じることがあります。
土踏まず・足の内側が痛い
足部のアーチを支える組織に負担がかかることで、土踏まずや足の内側に痛みを感じる場合があります。
足裏・かかとが痛い
足部の荷重バランスが変化することで、足底筋膜などに負担がかかり、足裏やかかとの痛みを伴うことがあります。
靴の内側がすり減る
足部やかかとの向きによって、靴底の減り方に偏りがみられることがあります。
扁平足の原因
扁平足にはさまざまなタイプがあり、原因も年齢によって異なります。
子どもの扁平足
幼児期には土踏まずが十分に形成されていないことが多く、足裏の脂肪も厚いため、足が平らに見えることがあります。
成長とともにアーチが形成されるケースも多く、見た目だけで異常と判断する必要はありません。
ただし、痛みがある、足が硬い、左右差が強い、歩き方に問題がある場合などには評価が必要です。
成人の扁平足
もともとの足の形に加えて、体重増加、長時間の立ち仕事、加齢などさまざまな要因が関係します。
成人になってから徐々に土踏まずが低下し、足の形が変化してくる場合には、後脛骨筋腱や周囲の靱帯など足部のアーチを支える組織の機能低下が関係していることがあります。
近年では病態に応じて**Progressive Collapsing Foot Deformity(PCFD:進行性足部虚脱変形)**という概念も用いられていま
扁平足はどうやって診断する?
「土踏まずが低く見える」という見た目だけではなく、症状や足部の形態、柔軟性などを総合的に評価します。
立った状態での足の評価
体重をかけた状態で、
- 土踏まずの高さ
- かかとの向き
- 前足部の位置
- 左右差
などを確認します。
座っているときにはアーチがあるのに、立つと土踏まずが低下する場合もあります。
柔らかい扁平足か、硬い扁平足か
体重をかけていない状態や、つま先立ちをした際にアーチが形成されるかどうかも確認します。
柔軟性が保たれている扁平足と、変形が固定されている扁平足では、原因や治療方針が異なる場合があります。
レントゲンでは何を確認する?
症状がある場合や足部の変形を詳しく評価する必要がある場合には、体重をかけた状態(荷重位)でのレントゲンが重要です。
単に「土踏まずが何cmあるか」ではなく、足を構成する骨同士の位置関係を評価します。
Meary角(距骨-第1中足骨角)
代表的な指標の一つが**Meary angle(距骨-第1中足骨角)**です。
足を横から撮影したレントゲンで、距骨と第1中足骨の位置関係を評価します。
正常では両者の軸がおおむね一直線になりますが、扁平足ではその配列が崩れ、角度が変化することがあります。
踵骨ピッチ(Calcaneal Pitch)
踵骨が地面に対してどの程度傾いているかを評価する指標です。
扁平足では踵骨の傾きが低下し、踵骨ピッチが小さくなる傾向があります。
その他のレントゲン評価
必要に応じて、
- talonavicular coverage angle
- talocalcaneal angle
- 距骨と第1中足骨の位置関係
など複数の指標を確認します。
一つの角度だけで正常・異常を決めるのではなく、症状や診察所見と合わせて判断することが重要です。
扁平足と有痛性外脛骨の関係
有痛性外脛骨では、扁平足を伴っていることがあります。
外脛骨が存在する舟状骨周囲には、足部のアーチを支える後脛骨筋腱が付着しています。
扁平足によって足部の力学的なバランスが変化すると、外脛骨周囲に負担がかかり、スポーツなどをきっかけに痛みが出ることがあります。
扁平足と外反母趾の関係
扁平足では足部のアーチ構造や荷重バランスが変化し、外反母趾を伴うことがあります。
外反母趾がある場合にも親指だけを見るのではなく、足部全体の骨格やアーチを確認することが重要です。
扁平足と足底筋膜炎の関係
足底筋膜は、かかとから足趾の方向へ広がり、足部アーチの維持にも関係する組織です。
扁平足などによって足部の力学的環境が変化すると、足底筋膜への負担に影響する場合があります。
かかとや足裏の痛みがある場合には、扁平足だけでなく足底筋膜炎などについても評価することが重要です。
扁平足の治療
扁平足があっても症状がなければ、必ずしも治療が必要とは限りません。
痛みや疲れやすさなどの症状がある場合には、その原因や足部の状態に合わせて治療を行います。
靴の見直し
足のサイズや形に合った靴を選ぶことが重要です。
足長だけでなく足幅、かかとのフィット、靴底の安定性なども確認します。
インソール・足底装具
足部への負担を調整する目的で、症状に応じてインソールなどの足底装具を使用することがあります。
インソールは扁平足の骨格を完全に元へ戻すものではなく、足部の支持や荷重の調整、症状の軽減などを目的として使用します。
運動器リハビリテーション
足だけではなく、足関節や下肢全体を評価することが重要です。
当院では理学療法士が、足部アーチ、足関節の可動域、下腿の柔軟性、足趾機能、下肢筋力、バランス、歩行やスポーツ動作などを症状に応じて評価し、運動療法を行います。
扁平足はトレーニングで治りますか?
運動によって、すべての扁平足の骨格が正常な形に戻るわけではありません。
一方で、足部や下肢の筋力・柔軟性・動作を改善することで、足への負担を調整し、症状の改善につながる場合があります。
インターネット上の「この運動だけで土踏まずが復活する」といった情報だけで判断せず、どのタイプの扁平足なのかを評価したうえで運動を選択することが重要です。
子どもの扁平足は治療が必要ですか?
子どもの足は成長過程にあり、幼児期には土踏まずが低く見えることも珍しくありません。
痛みがなく、足の柔軟性が保たれ、日常生活や運動に問題がなければ経過をみることもあります。
一方、
- 足を痛がる
- 運動するとすぐ疲れる
- 左右差が強い
- 足の変形が硬く戻らない
- 歩き方がおかしい
- スポーツに支障がある
といった場合には、一度整形外科で評価することをおすすめします。
手術が必要になることはありますか?
多くの扁平足では保存療法を中心に治療します。
しかし、成人で変形が進行し、強い痛みや歩行障害があり、十分な保存療法でも改善しない場合などには手術が検討されることがあります。
手術方法は変形の原因や程度によって異なります。
手術が必要と判断した場合には、適切な専門医療機関へご紹介します。
このような症状はご相談ください
- 土踏まずが低い・ないように見える
- 足が疲れやすい
- 長時間歩くと足が痛い
- 土踏まずや足の内側が痛い
- かかとや足裏が痛い
- 最近、足の形が変わってきた
- 子どもの扁平足が気になる
- スポーツをすると足が痛くなる
- 外反母趾や有痛性外脛骨もある
扁平足そのものではなく、別の疾患が痛みの原因となっている場合もあります。症状が続く場合にはご相談ください。
当院の特徴
当院では、整形外科専門医・日本整形外科学会認定スポーツ医が扁平足をはじめとした足部・足関節疾患を診療しています。
「土踏まずが低い」という見た目だけではなく、痛みの場所、足部アーチ、かかとの向き、足関節の柔軟性、歩行やスポーツ活動などを評価します。
必要に応じてレントゲン検査を行い、理学療法士による運動器リハビリテーションやインソールなどを組み合わせながら、症状に応じた治療をご提案します。
よくある質問
土踏まずがないと扁平足ですか?
土踏まずが低く見えても、年齢や体重をかけた状態によって見え方は異なります。特に子どもでは成長過程で土踏まずが低く見えることがあります。見た目だけでなく、症状や足の柔軟性などを含めて評価します。
扁平足は何度から異常ですか?
扁平足は一つの角度だけで診断するものではありません。荷重位レントゲンではMeary角や踵骨ピッチなど複数の指標を参考にし、足部の形態や症状と合わせて判断します。
扁平足はインソールで治りますか?
インソールによって成人の骨格そのものを完全に正常な形へ戻すわけではありません。足部への負担を調整し、痛みなどの症状を軽減する目的で使用することがあります。
子どもの扁平足は放置しても大丈夫ですか?
柔軟性があり症状のない扁平足では経過をみることもあります。一方、痛みや硬さ、左右差、歩行の異常などがある場合には評価をおすすめします。
扁平足は何科を受診すればいいですか?
扁平足は足部の骨・関節・腱などが関係する運動器の問題ですので、整形外科で診察します。
監修医
平田 寛明
高槻整形外科・再生医療クリニック 院長
日本再生医療学会認定医
医学博士
日本整形外科学会認定 整形外科専門医
日本整形外科学会認定 スポーツ医
日本整形外科学会認定 リハビリテーション医
Accurian® 末梢神経ラジオ波焼灼療法 認定医
Coolief® 末梢神経ラジオ波焼灼療法 認定医
スポーツ障害から変形性関節症まで幅広い運動器疾患を診療しています。患者様一人ひとりの症状や生活背景に合わせ、保存療法・運動器リハビリテーション・再生医療などから適切な治療をご提案しています。
本ページは医学的知見および実際の診療経験に基づいて作成し、内容を定期的に見直しています。
土踏まず・足の痛みでお困りの方へ
「土踏まずが低いのが気になる」「長く歩くと足が疲れる」「足の内側や足裏が痛い」「子どもの扁平足を一度診てもらいたい」といった方はご相談ください。
扁平足があるかどうかだけではなく、痛みの原因や足部全体の状態を確認することが重要です。
お電話での予約は
072ー691ー6870