石灰沈着性腱板炎(石灰性腱炎)は、肩の腱板にカルシウム(石灰)が沈着し、炎症を起こすことで肩に強い痛みを生じる疾患です。特に急性期には「突然肩が激しく痛くなった」「夜も眠れない」「腕をほとんど動かせない」といった強い症状が現れることがあります。
五十肩や腱板断裂などでも似た症状がみられるため、肩の痛みの原因を適切に診断することが重要です。当院では診察と画像検査を行い、症状や石灰の状態に応じた治療を提案します。
石灰沈着性腱板炎とは
石灰沈着性腱板炎とは、肩関節を支える腱板の内部にリン酸カルシウムを主成分とする石灰が沈着し、炎症や痛みを引き起こす疾患です。
特に棘上筋腱に生じることが多く、石灰が存在していても症状がない場合がある一方、石灰の状態が変化する過程で強い炎症を起こし、突然激しい痛みを生じることがあります。
石灰沈着性腱板炎の主な症状
症状の程度はさまざまですが、急性期には非常に強い肩の痛みを生じることがあります
突然起こる激しい肩の痛み
特にきっかけがないにもかかわらず、突然肩に強い痛みが出現することがあります。痛みのため腕をほとんど動かせなくなることもあります。
夜も眠れないほど肩が痛む
急性期には夜間痛が強く、「横になっても痛い」「痛みで眠れない」と訴える方もいます。
腕を上げられない
炎症が強い時期には、腕を上げようとすると激しく痛み、肩を動かすこと自体が困難になる場合があります。
石灰ができる原因
腱板に石灰が沈着する詳しい原因は完全には解明されていません。
腱の変性や局所的な細胞の変化などが関係すると考えられており、単純に「カルシウムを摂りすぎたから起こる病気」ではありません。
そのため、石灰沈着性腱板炎になったからといって、自己判断でカルシウムを含む食品を避ける必要は通常ありません。
五十肩との違い
石灰沈着性腱板炎と五十肩は、どちらも肩の痛みや動かしにくさを生じます。
石灰沈着性腱板炎では、比較的突然、非常に強い痛みが出現することが特徴の一つです。一方、五十肩では徐々に痛みや可動域制限が進行することも多くみられます。
ただし症状だけで完全に区別することは難しく、レントゲンなどの画像検査が診断に役立ちます。
腱板断裂との違い
腱板断裂でも肩の痛み、夜間痛、腕の上げにくさなどがみられるため、石灰沈着性腱板炎と症状が似ることがあります。
腱板断裂では筋力低下が目立つことがあり、石灰沈着性腱板炎では急激な炎症による強い痛みが前面に出ることがあります。
また両方が併存する場合もあるため、身体所見と画像検査を組み合わせて評価することが重要です。
当院で行う検査
まず肩の痛みが出た時期やきっかけ、可動域、圧痛などを確認します。
石灰沈着はレントゲン検査で確認できることが多く、石灰の位置や大きさ、形状などを評価します。
必要に応じて超音波(エコー)検査を行い、石灰の位置や腱板の状態を確認します。腱板断裂など他の疾患が疑われる場合には、MRI検査が可能な医療機関と連携して詳しく調べることがあります。
石灰沈着性腱板炎の治療
治療は、痛みの程度や発症からの期間、石灰の状態などによって異なります。
急性期にはまず強い炎症と痛みを抑えることが重要です。消炎鎮痛薬などの薬物療法や注射治療などを症状に応じて検討します。
症状が落ち着いてきた段階では、肩関節の動きを回復させるためリハビリテーションを行うことがあります。
リハビリテーション
強い炎症がある時期に無理に肩を動かすと痛みが悪化することがあります。そのため、症状の時期を見極めながらリハビリテーションを行うことが大切です。
炎症が落ち着いた後は、肩関節の可動域、肩甲骨の動き、腱板の機能などを評価し、徐々に肩の機能回復を目指します。
当院では医師と理学療法士が連携し、それぞれの病期や生活・スポーツ活動に合わせた運動器リハビリテーションを行います。
石灰はなくなりますか?
石灰は時間の経過とともに自然に吸収されることがあります。一方、画像上は石灰が残っていても症状が改善する場合もあります。
そのため、「石灰がある=必ず取り除かなければならない」というわけではありません。画像だけでなく、痛みや肩の機能などを総合して治療方針を判断します。
手術が必要になることはありますか?
多くの場合は保存療法から治療を開始しますが、症状が長期間続く場合や保存療法で十分な改善が得られない場合などには、石灰の除去などの手術が検討されることがあります。
手術が必要と判断した場合には、適切な医療機関へご紹介します。
このような肩の痛みは早めにご相談ください
「突然肩が激しく痛くなった」「夜も眠れないほど痛い」「急に腕を上げられなくなった」といった症状では、石灰沈着性腱板炎だけでなく、腱板断裂やその他の肩関節疾患も考える必要があります。
「五十肩だろう」と自己判断せず、強い肩の痛みがある場合には整形外科で原因を確認することをおすすめします。
当院の肩診療の特徴
当院では、整形外科専門医・日本整形外科学会認定スポーツ医が肩の診療を行っています。
レントゲンや超音波検査などを活用して肩の痛みの原因を評価し、薬物療法、注射、運動器リハビリテーションなどから患者様の状態に適した治療を提案します。
よくある質問
カルシウムの摂りすぎが原因ですか?
一般的に、食事によるカルシウムの摂取量が直接の原因になるわけではありません。自己判断でカルシウム摂取を制限する必要は通常ありません。
石灰があれば必ず痛みますか?
いいえ。レントゲンで石灰が見つかっても、症状がない方もいます。石灰の存在だけではなく、症状や診察所見を合わせて判断します。
石灰は必ず手術でとる必要がありますか?
必ずしも必要ではありません。自然に吸収されたり、保存療法で症状が改善したりすることもあります。
監修医
平田 寛明
高槻整形外科・再生医療クリニック 院長
日本再生医療学会認定医
医学博士
日本整形外科学会認定 整形外科専門医
日本整形外科学会認定 スポーツ医
日本整形外科学会認定 リハビリテーション医
Accurian® 末梢神経ラジオ波焼灼療法 認定医
Coolief® 末梢神経ラジオ波焼灼療法 認定医
膝関節疾患やスポーツ障害をはじめ、変形性関節症など幅広い運動器疾患を診療しています。患者様一人ひとりの症状や生活背景、「スポーツに復帰したい」「できるだけ手術を避けたい」などの目標に合わせ、保存療法・運動器リハビリテーション・再生医療などから適切な治療をご提案しています。
本ページは医学的知見および実際の診療経験に基づいて作成し、内容を定期的に見直しています。
突然の肩の痛み・夜間痛でお困りの方へ
石灰沈着性腱板炎では、突然肩に強い痛みが現れ、「腕を動かせない」「夜も眠れないほど痛い」といった症状を生じることがあります。
肩の強い痛みは、石灰沈着性腱板炎だけでなく、五十肩や腱板断裂などでも起こるため、症状だけで自己判断せず、原因を確認することが大切です。
当院では、整形外科専門医が診察し、レントゲン検査や超音波(エコー)検査などを用いて肩の状態を評価します。症状や病期に応じて、薬物療法、注射治療、運動器リハビリテーションなどから適切な治療をご提案します。
お電話での予約は
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